どこまで
が絵なのか
どこから絵でなく
なるのか
僕はこれは、まだ
絵だと思う
絵画の本質とはどこに存在するのか?
これは、SNSなどを通してデジタルデバイスのディスプレイで絵を見る機会が圧倒的に多くなってきているここ数年、持ち続けてきた疑問である。それは、作品のいわゆる「実物」にしか存在しないのか。ディスプレイに表示されるイメージと「絵画」の違いは何なのか。
2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大の最中に開催した「PICTURE」展は、当初、紙の上に描いた画面を写真撮影しプリントした物を「絵画」としてギャラリーで展示するという企画としてスタートした。これは、絵画の“本質”はどこにあるのか、「作品の実物」にのみに宿るものなのか、という作家の疑問を、撮影、プリント、展示という工程を経て問うものだった。
しかし政府による緊急事態宣言下で、鑑賞の場をギャラリーでの実物鑑賞からオンラインでの展示鑑賞へと移行する事になり、結果的に「PICTURE」展がテーマとしていた「絵画の本質が存在する場所」を、半ば強制的に「ディスプレイ越しの展示鑑賞」という形でも問う事にもなった。
絵画の“本質”が、絵具によって支持体に塗り込められたものとするのならば、「PICTURE」は“本質”をそこから解放する。
その後も続くコロナ禍で制作と発表は続いており、PICTURE展は国内を巡回し、同時にオンライン展示も巡回しながら絵画の本質を探り続けている。
そして今回発表する「PICTURE #017」は、プリントという「実物」をも持たず、データとしてのみ存在する作品である。
これは絵画なのか?写真なのか?作品なのか?ただのデータなのか?