Koji Shiroshita 城下浩伺

VR公開制作 京都芸術センター 2023

空間へのドローイング

「空間へのドローイング」は、美術作家・城下浩伺と、XR/Webクリエイター・みふくの協働により、美術とXRの融合を通じて未来の表現を拓く試みです。

城下浩伺は、ペンと墨という古典的なメディウムを用い細密な線の表現で画面を構成する「Completely Untitled」シリーズ(2005〜)や、絵画と写真の境界を問う「PICTURE」シリーズ(2020〜)など、一貫して「絵画の本質」を探求の対象にしてきた美術作家です。近年は、VR機器を用いて空間自体を支持体として描く「VRドローイング」に注力。このアプローチは、伝統的な平面に閉じ込められた「描く」行為に新しい身体性と立体性をもたらし、逆説的に現実世界との繋がりを深化させています。

みふくはマルセル・デュシャンをVRの観点から捉え直した作品「Given: Marcel Duchamp」(2022)など、既存の美術の文脈とXR表現の接続に主眼を置くクリエイターです。

城下が描いたVRドローイングはみふくによって再解釈・AR化され、デジタルデバイスの画面を通して現実世界に”転写”される事により、ありふれた景色をインスタレーションの現場へと変貌させます。

空間へのドローイング

本プロジェクトではまた、ワークショップ形式を取る事により、多様な人々へ表現の扉を開きます。
ワークショップの参加者は城下の「空間へのドローイング」実演を見学した後、VRゴーグルをかぶり「空間へのドローイング」を行います。参加者は年齢、性別、職業など様々なバックグラウンドを持ち、活発に走り回る人、機械的に腕を動かす人、腕を精一杯伸ばして高い位置に描く人、逆に人前で大きく体を動かすことに抵抗を感じる人もいます。それら一人一人の動き(姿勢)が、それぞれに異なるドローイングとなって現れます。
「空間へのドローイング」は、現代における最も身体的な絵画の形といえるかもしれません。
様々な人にそれを体験してもらう事で人間にとっての「描く」という行為を再定義し、芸術の社会的な実践の場へと育てていきます。

Share

the Top of the Page