Koji Shiroshita 城下浩伺

PICTURE Koji Shiroshita Exhibition / Photo by Masashi Mihotani

どこまで
が絵なのか
どこから絵でなく
なるのか 
僕はこれは、まだ
絵だと思う

絵画の本質とはどこに存在するのか?

これは、SNSなどを通してデジタルデバイスのディスプレイで絵を見る機会が圧倒的に多くなってきているここ数年、持ち続けてきた疑問である。それは、作品のいわゆる「実物」にしか存在しないのか。ディスプレイに表示されるイメージと「絵画」の違いは何なのか。

2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大の最中に開催した「PICTURE」展は、当初、紙の上に描いた画面を写真撮影しプリントした物を「絵画」としてギャラリーで展示するという企画としてスタートした。これは、絵画の“本質”はどこにあるのか、「作品の実物」にのみに宿るものなのか、という作家の疑問を、撮影、プリント、展示という工程を経て問うものだった。

しかし政府による緊急事態宣言下で、鑑賞の場をギャラリーでの実物鑑賞からオンラインでの展示鑑賞へと移行する事になり、結果的に「PICTURE」展がテーマとしていた「絵画の本質が存在する場所」を、半ば強制的に「ディスプレイ越しの展示鑑賞」という形でも問う事にもなった。

絵画の“本質”が、絵具によって支持体に塗り込められたものとするのならば、「PICTURE」は“本質”をそこから解放する。

その後も続くコロナ禍で制作と発表は続いており、PICTURE展は国内を巡回し、同時にオンライン展示も巡回しながら絵画の本質を探り続けている。

そして今回発表する「PICTURE #017」は、プリントという「実物」をも持たず、データとしてのみ存在する作品である。
これは絵画なのか?写真なのか?作品なのか?ただのデータなのか?

Openseaで見る

PICTURE オンライン公開制作

2021.11.24 京都芸術センターにて

Profile

城下浩伺

美術作家 https://koji-shiroshita.com

京都生まれ、京都在住。京都造形芸術大学(現 京都芸術大学) 情報デザイン学科卒業。2015年、現代美術の国際コンペティション「Art Olympia 2015」5位入賞。墨とペン、毛筆で描く細密・密集するイメージは、完全な自由を絵画の中で成立させる為タイトルや一切のモチーフの放棄を制約として課すという矛盾をはらんでいる。2020年、写真を使った絵画作品シリーズ「PICTURE」「FOCUS」を発表し、絵画の本質を自由に移動させる試みを行なっている。

三保谷将史

写真家 https://masashimihotani.com

1987年、大阪生まれ。写真家。大阪ビジュアルアーツ写真学科夜間部卒業。身近にありふれるものをネガとしたカラーフォトグラムによる作品を近年は制作。独学で写真を学び始めたのち、ギャラリーや現代美術施工等の勤務経験を経て、現在は京都芸術大学、大阪ビジュアルアーツ両校の写真学科で非常勤講師を務める。受賞歴に2018年度JAPANPHOTOAWARD(IMAエディトリアルディレクター太田睦子氏選)、便利堂HARIBANAWARD2018ショートリストなど。

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