Koji Shiroshita 城下浩伺

FOCUS

距離感の境界、
すっかり見え方が変わってしまった世界

「FOCUS」の着想の元になっているのは、スマートフォンの通信速度制限中にSNSに現れる読み込み完了前のぼやけた写真や、動画の1シーンに映り込んだピンボケ背景などのいわゆる「ぼけ画像(blurred image)」である。
スマートフォンが画像を読み込み終わるまでの数秒間、または動画のカメラワークがパンする瞬間、目に入ってきたそれらのイメージをキャプチャによって捕らえ、それを元に描いた「元画」を全てアウトフォーカスで撮影してもらい、複数枚撮影した写真から 1 枚を選び出して、プリントしたものが作品となる。
筆致を重ねた絵の画面は、再度撮影・プリントアウトという工程を経る事で積層された情報が統括されてフラットになり、後にはどこにも焦点の合わない、イメージのエッセンスが残る。これらのイメージに、私は、新型コロナウイルスの出現を分岐点としてすっかり見え方が変わってしまった世界や、感染拡大によって感じるようになった人や物事との距離感の不分明さを見る。

展示風景

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